今の日本は主導外交をすべきにあらず

 よく、左右両方から、日本主導の外交とか、
世界から尊敬されるとか言いますが、私はそれを少なくとも現在の日本では、
非現実的であると考えています。
まだ、インドとパキスタンとの関係を深め、中国を牽制する、
他には、台湾や南アジアとの関係強化による海洋経済の強化といったものには、
利がある様に思えますが、
極右・極左が唱える、日米同盟の破棄は、石油と防衛力確保の道が途絶え、
そこそ、ハル・ノートをつきつけられた、あの戦前の最悪の状況に逆戻りするでしょうし、
民主党が唱える東アジア共同体も、日本は中国のいいように利用されるぐらいで終わる事でしょう。*1



 そこで、私はやはり現在の日本では、
日米同盟を軸にした、石油、及びシーレーンの確保、
そして国防力の安定は必須であると考えますし、
日米同盟に変わる手段も当面はないと思います。*2
戦後の政治家、とりわけ戦後ほとんどの期間、一度下野した時代を除いて、
政権を担ってきた、さらに言うと、明治の自由民権運動の代名詞、板垣退助の作った自由党から発展した自由民主党の政治家も概ね、これを理解し、日米同盟を軸にした政策を取っています。



  現在の政権も今から紹介する記事の様に、それを逸していません。

■「日本に戦費求めず」 米、イラク戦争開戦3カ月前に通告
http://www.sankei.co.jp/news/060830/kok019.htm【2006/08/30 東京朝刊から】(08/30 08:00)

 米中枢同時テロ(9.11)発生から間もなく5年。アフガン戦争、イラク戦争と続くテロとの戦いで米国を支持してきた日本だが、イラク戦争では、開戦3カ月前に米側が日本に戦費拠出の要請をしないと伝えていたことが29日までにわかった。また、小泉純一郎首相がイラク攻撃前に米国支持を表明したのは、国際社会に強固な日米同盟を強く印象付ける効果を狙ったものだったことも判明した。
 複数の政府関係者の証言を総合すると、イラク戦争の開戦約3カ月前の平成14年(2002年)12月、アーミテージ米国務副長官(当時)は、日本側担当者に、米が開戦に踏み切った場合、日本に対しイラク戦争の戦費拠出を要求しない考えを示す一方、日本が支持を表明することに期待感を示したという。

 アメリカも日本のこの態度を怪訝にすることはありません。


 米側は、約130億ドルを拠出しながらほとんど評価されなかった日本側の湾岸戦争の苦い教訓に配慮。日米双方とも「小切手外交はしない」ことで一致したが、この際、日本側はイラクへの自衛隊派遣には新法の制定が必要だと説明した。
 米政府内の一部では、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上兵力)を」(ローレス国防次官補代理)といったイラク戦争への自衛隊参加への期待感が高まっていたが、このころから、日本政府は「戦後復興での自衛隊派遣」という方針を固め、米側が過大な期待を持たないようクギを刺したといえる。

 このように、「今の日本にできる事」の範囲内での日米関係の強化・維持を図っています。
そういう意味では、戦前の反省を切に活かしていると言えるでしょう。
反省しろ、反省しろと口ばっかりの民主党社民党共産党、及びマスコミ、識者とは違って。

 2002年末から翌年3月にかけ、イラクへの武力行使をめぐり、米国と仏独などの対立が激化。日本政府は、武力行使の可能性を示唆する国連の安保理決議1441(第1決議)に続いて、武力行使を含めた「あらゆる手段」を明確に容認する新たな決議(第2決議)の採択に向けた外交努力を続けていた。
 その一方で政府は、仏独の反対が強いため、第2決議が採択できないまま米国がイラク攻撃に踏み切る公算が大きいと判断。決議が採択されない場合を想定し、極秘に対応策の検討を始めた。
 国際法上の検討を進めた結果、法的には米国のイラク攻撃には第2決議だけでなく、第1決議も必要なく、湾岸戦争での武力行使を容認した決議678、その停戦条件を定めた決議687で十分と結論付けたという。

 日本は外交力が無さ過ぎる、無策だって言ってる人は
ただ単に勉不足か、自分の理想の外交をしないから文句を言ってるだけにみえてきますね。

 日本政府は、開戦に備えた理論的な準備を早い段階で終えていた。それでもあえて第2決議採択を目指したのは、米国を支持する際、国民を納得させる必要があり、そのためには「第2決議があった方が日本にとって政治的に望ましい」との理由からだった。

 日本政府が注意を払ったのは、問題の本質が「大量破壊兵器の拡散」であり「国際社会の対応」が問われている点だった。米国には「米対イラク」ではなく「国際社会対イラク」にしなければならないとして安保理での外交努力を促したが、第2決議は採択されなかった。
 こうした米欧対立の構図下で小泉首相は、外交当局が想定した開戦後ではなく、開戦直前の3月18日に米国支持を突然、表明した。首相に近い政府関係者がいう。
 「首相の動物的な勘ではないか。開戦後より開戦前の方が、強固な日米同盟を国際社会にアピールできるとの計算があったのは間違いない」
 その日の夜、小泉首相の発言を知ったアーミテージ氏から、政府高官の一人にすぐさま電話がかかってきた。
 「うれしくて涙が出た。日米関係に長く携わって本当に良かった」
 大規模戦闘終結後のイラクへの自衛隊派遣を決めた閣議決定はそれから9カ月後のことになる。

 とここまで見て、日本のイラク戦争の支持にはやはり一定の利点があり、
その利点こそ、まさに戦後経済の基盤を維持するのに不可欠なものだと言えるでしょう。
やはり、まだまだ日米関係は必要不可欠だと言えるでしょう。
再び、国を貧しくしたくないなら、日米同盟の放棄は大変有効ですが。
私は、昭和のあのせんそうは日本にとっては災害だと言ってよく、*3
現在、戦犯だ、戦争責任者だと言われている方々は、あの災害に対して、
非常に果敢に戦われた、正に憂国の士だと思っています。*4
その方々の意思を無駄にしないためにも、
多少の苦汁に耐え、日米同盟を維持すべきだと考えます。*5

*1:向こうは明らかに覇権意識を持っている。

*2:右側からはよく、中韓を除いたアジア国との関係強化による、多国同盟防衛構想を聞きますが、現状ではあまりに先の話で、まだ水面下で動く事すらしていないので、思想の域を超えず、政治上の論壇で触れる事は非現実的です。

*3:満州国建国と、国際連盟脱退には問題がありましたが、あの時、世論はそれを支持してしまいました。

*4:決して戦争責任を否定するわけではないですが

*5:ちなみに、日中間系も重要だとは思いますが、日米関係に変わるほどの物ではないです。アメリカの様に、相手国の世論に訴えかけることすらできませんし、経済発展の途中ですので、先はまだ不確定です。